悪の温床〝随意契約〟

本来、行政が何らかの仕事を発注する際は、市民の税金をより有効に活用するよう、原則として競争入札にすることが定められています。ただ、原則には例外があり、競争入札をする時間が無い緊急の場合や、発注可能な会社が1社しかない場合など、特定の場合のみ、随意契約を行うことが認められています。これらの例外規定は、業者との癒着、官製談合などを背景に拡大解釈され、本来は競争入札にすべきところを、不当に随意契約とする問題がたびたび起きています。吹田市でも過去に、市役所庁舎の屋上に太陽光パネルを設置する業務で随意契約が行われたことが問題となりました。吹田市は、その反省から、「随意契約ガイドライン」を定め、随意契約が可能な場合を、より具体的に例示すると共に、ダブルチェックを行うことで不適切な随意契約が起こらないようにしました。しかしながら、このガイドラインは、〝ザル〟でした。外郭団体である吹田市文化振興事業団に、随意契約が行われています。

ー違反その1「そもそも審査していない」ー

 吹田市の文化振興のために、年に数回の劇やコンサートの企画を行う「市民劇場等運営業務」は、市長決済も必要な委託金額約2000万円の業務で、当然ガイドラインに従って手続きを進めることになります。ガイドラインでは、随意契約してよいかどうかはまず担当部署内の事業者選定審査会で審査することになっています。しかし、実際には審査はされませんでした。その理由は、審査会の設置要領で「施工上の経験及び知識を特に必要とする業務で、契約の相手方が特定されるもの」は審査除外とされているからとのことです。劇やコンサートの企画が、〝施工〟であるはずがありません。これは例えば、特殊な機械設備等を設置した後に、設置した業者しか以後の保守・修繕が難しいといった場合を想定しているものであって、当然、当てはまりません。

ー違反その2「随意契約してよいケースでない」ー

 なぜ、この業務を随意契約するのか、その理由について確認すると、ガイドラインの「契約を確実に履行できる施設・能力を有し、かつ、当該契約を締結する意思を表示したものと締結するとき」という項目に該当するからとのことです。ただ、これを適用する場合の例が具体的に示されており、例えば、健康診断業務を委託する場合は、引き受けてくれる市内の病院に委託するより他にないといった場合です。劇やコンサートの企画が当てはまるはずがありません。

ー違反その3「ダブルチェックも機能してない」ー

 担当部署が随意契約の起案を出した場合は、契約検査室でチェックすることになっています。ここの確認で疑義があれば、公共工事等入札・契約制度改善検討委員会で審議されることになります。しかし、契約検査室は、担当部署と同様の判断をしたとのことで、委員会での審議に付しませんでした。こうして、数々の違反をして、結果、随意契約がなされました。
過去の反省などあったものでは
ありません。